いまは大森の海辺に海苔の養殖場はありませんが、大森はかつて味と生産量が全国一と評された海苔の産地でした。ここで生まれた海苔の生産方式は、全国へ伝わっていったといわれています。
この記事では、大田区の地域メディア「大田区サンポット」が、江戸時代から続いた大森の海苔づくりの歴史と、その道具や海苔船を無料で見学できる「大森 海苔のふるさと館」を紹介します。

まずは早見表|大森の海苔
| 始まり | 江戸時代の中頃 |
| 評判 | 味と生産量が全国一と評され、生産方式が全国へ伝わった |
| 終わり | 1963年(昭和38年)春に、東京都の沿岸での海苔養殖が終了 |
| 今も見られる場所 | 大森 海苔のふるさと館(平和の森公園内・入館無料) |
大森の海苔づくりの歴史
大森で海苔が作られ始めたのは江戸時代の中頃。海の中に木や竹を立てて海苔を育て、冬に摘み採って板海苔に仕上げていました。大森の海苔は味と生産量の両方で全国一と評されるほどになり、その作り方は各地の産地にも伝わっていきます。
しかし1963年(昭和38年)の春、東京都の沿岸での海苔養殖は終わりを迎えました。廃業した当時、大森には700艘あまりの海苔船があったといわれています。
養殖が終わったあとも、地域の人々にとって海苔は「ふるさとのシンボル」。当時の道具は国の重要有形民俗文化財「大森及び周辺地域の海苔生産用具」(881点)に指定され、大切に受け継がれています。
海苔づくりを支えた船と道具
海苔船
沖合まで海苔場が広がるにつれて、船の役割も分かれていきました。
| 船 | 使われ方 |
|---|---|
| べかぶね(海苔採り伝馬) | 一人乗りの小舟。養殖場へ通い、摘み採った海苔を笊に入れて運んだ |
| ちゅうべか | 養殖の資材を運んだ、中型で安定のよい船 |
| 海苔船(親船) | 動力付きの大きな船。電気着火の機関を積んだものは「チャカ」とも呼ばれた |
海苔専用の船が造られるようになったのは昭和に入ってから。ふるさと館に展示されている海苔船は昭和33年に造られ、大森に現存する最後の一艘です。
海苔づくりの道具
- ヒビ(篊)…海の中に立てて海苔を育てる木や竹。戦後は海苔網が広まりました
- 海苔切り包丁・チョッパー…摘み採った生海苔を細かく刻む道具。包丁から機械へと移り変わりました
- 海苔簀・付け枠…刻んだ海苔を水に溶き、枠に流し込んで一枚ずつ形にする道具
- 海苔箱・ホイロ…乾いた海苔に火入れをして湿気を取り、保存するための道具
海苔ができるまで
ふるさと館の展示では、当時の海苔づくりの流れを道具とともにたどれます。
- ヒビごしらえ…夏のうちに竹の汚れを落としたり、網を編んだりして準備
- ヒビ建て…木や竹の時代は、9月中旬ごろから海の中にヒビを立てた
- 海苔採り…冬、潮の満ち引きを見ながら、一人乗りの小舟で摘み採る。滑りやすい海苔は、凍える寒さでも素手で採ったといいます
- 海苔切り…採った翌朝の早いうちに細かく刻む
- 海苔付け…水に溶いた海苔を枠に流し込み、一枚ずつ形にする。1時間に250〜300枚ほど仕上げたといわれます
- 海苔乾し…天日で乾かし、天気の悪い日は乾燥場を使った
- 保存…火入れで湿気を取り、海苔箱に密閉して保存
- 販売…問屋が生産者を回って買い付ける形から、昭和28年には共同入札が始まった
大森 海苔のふるさと館(入館無料)
大森の海苔づくりを今に伝えるのが、2008年(平成20年)に平和の森公園内に開館した「大森 海苔のふるさと館」です。重要有形民俗文化財の海苔生産用具を含む約150点の資料を中心に展示していて、入館は無料。3階には展望室もあります(館内で飲食できるのは展望室のみ)。
| 入館料 | 無料 |
| 開館時間 | 9:00〜17:00(6月〜8月は19:00まで) |
| 休館日 | 第3月曜日(祝日の場合は翌日)、年末年始(12月29日〜1月3日)。燻蒸などによる臨時休館あり |
| 住所 | 東京都大田区平和の森公園2-2 |
| アクセス | 京急線「平和島」駅から徒歩約15分/東京モノレール「流通センター」駅から徒歩約15分/JR「大森」駅東口9番乗り場から平和島循環バスで「平和島五丁目」下車、徒歩約3分(バスは本数が少なめ) |
| 駐車場 | なし(隣接する平和の森公園の有料駐車場を利用) |
| 電話 | 03-5471-0333 |
昔ながらの方法で板海苔をつくる「海苔つけ体験」などのイベントも行われています。開催日や申し込み方法(往復はがき等)は、大森 海苔のふるさと館の公式サイトで案内されています。
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よくある質問
Q. 大森で海苔づくりが行われていたのはいつですか?
A. 江戸時代の中頃に始まり、1963年(昭和38年)の春に東京都の沿岸での海苔養殖が終わるまで続きました。
Q. 大森 海苔のふるさと館は無料ですか?
A. 入館は無料です。開館時間は9時から17時まで(6月から8月は19時まで)です。
Q. 休館日はいつですか?
A. 毎月第3月曜日(祝日の場合は翌日)と、年末年始(12月29日から1月3日まで)です。燻蒸などで臨時休館することもあるため、公式サイトで確認してから訪れると安心です。
Q. 最寄り駅はどこですか?
A. 京急線の平和島駅、または東京モノレールの流通センター駅から、それぞれ徒歩約15分です。JR大森駅東口からは平和島循環バスで「平和島五丁目」まで行き、徒歩約3分です(バスは本数が少なめです)。
※掲載内容は2026年10月時点の情報です。開館時間・休館日・イベントは変更される場合があります。最新情報は大森 海苔のふるさと館・大田区の公式情報をご確認ください。サムネイルの写真はイメージです。






